くつ下の類は黒の無地をがよい。なので男児用のスポーツブランド全開柄のソックスが好きではない。彼奴らは遠慮というものを知らない礼儀知らずで出しゃばりが過ぎる。派手です。そこで息子用にユニクロでオールブラックのスニーカーインソックス（キッズ）を買った。するとわたしの手持ちの無地ソックスと見分けがつなかいという予想外のトラブルが起こった。いつのまにかわたしと息子の足のサイズが同じになっていたのである。洗濯物を畳むたびに履き口やつま先かかとのデザインの機微を確認しながらこれはわたしの、これは息子の、と分別するのは骨だ。面倒なので全部息子の引き出しに放り込む。わたしの黒のくつ下がなくなる。仕方がないのでスニーカーを履くときに息子に「くつ下貸して？」と頼む。なんで子どものくつ下を借りなくちゃいけないんだろう？ということで息子には改めてボーダー柄とブランドロゴが前面に押し出されたソックスを買った。わたしはまた一歩ミニマリストやシンプリストから遠ざかったのだ。そして必然的にわたしは息子のお下がりの黒いソックスを履くことになった。子どものソックスが妙にカラフルだったり保育士さんのソックスがキャラものだったりする理由がわかった気がする。シンプル丁寧よりも効率と正確さを重視するとロゴソックスとくつ下全体がキャラクターの顔のくつ下が出来上がるわけだ。基本的に世の中はごちゃっとしている。わたしはミニマリスト・シンプリストになれない。
