耳のないパンを焼く41の方法。

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イエスでもノーでも採血は行われる。

 小児科に用があって待合室で待っていると、隣にいた女児(未就学児)が名前を呼ばれて泣き出した。状況から察するに、これから診察→採血が行われるらしい。

 行き渋る娘に困ったママが説得に入る。「終わったらお菓子を買ってあげるから」。わかる。息子が小さい時わたしも多用したことばだ。でも大体そういう状況下において子どもはモノやカネにはつられない。看護師登場。ママの焦りは加速し、半ば怒りに変わっていく。ママ「お注射するの?しないの?」。お注射、つまり採血のことでしょうね。女児「しない」ママ「しないの?今しないと後でだよ?後でもしないと明日だよ?明日しないとまた次の日だよ?そうしないと病院にお泊りだよ?」。子育てのダブルバインドとはこのことか。お注射を「する」・「しない」。女児がどちらを選んでも採血は強行される。「しない」という選択肢は実質ないのである。

 ママの気持ちは痛いほど分かる。第一に採血は必要だから行われるのであり女児の健康のためにはしないわけにはいかない。目の前で子どもが泣くのは辛い。時間がかかりすぎて看護師まで出てきた。母子間の交渉は一向に進まない。周囲には受診を待つ親子が複数いる。正直彼らの視線が怖い。迷惑な子どもだと思われてるに違いない。そういった気持ちが複雑に混ざりすぎると母親という生き物は怒り出す。本当は怒っているのではない。困っているのだ。わかる。かつてのわたしもそうだったから。

 医療従事者は注射や採血を断固拒否する子どもに慣れている。だからどれだけ泣こうがなんとも思っていない。むしろ自ら「お注射お願いしまちゅ」と進み出るちびっこがいたらいろんな意味で怖い。

 ひょっこり顔をだした小児科医が「説得中かー」と一言放ち、微笑んで診察室へ戻っていったことが、それを証明していると思うんだけどな。ついでにいうと女児の次に呼ばれるはずのおばちゃんもイラついたり困ったりしていない。おばちゃんはわたし。

 ちびっこの採血は毛布みたいなので体をぐるぐる巻きにされ、身動きが取れない状態で行われる。多分動くと危険だから。しかもなぜか保護者の立ち合いが許されない。あんなもん、イヤに決まっている。しかしいくら拒否っても採血は行われるのだから、好きなだけ泣いて、ママに甘えればいいと思うんだ。

 やがて、女児は半強制的に診察室へ連れていかれた。

 彼女の採血結果に異状がなく、元気でいてくれるといいな、と思う。

 

 

 

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