二年前の今ごろ、わたしはロッチ中岡だった。
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久々に髪の毛を短くした。ギリギリ結べるくらいのボブ。以前かけたパーマが残っている。ご存じかもしらんが、パーマヘアは無心で乾かすとパサパサのままぼわっと広がってしまう。美容院でスタイリングしてもらうときは程よくウェッティなんだけど、いかんせん面倒くさがりなので自宅で自分で再現できない。
「明日からわたしのおしゃれボブはどうなってしまうのだろう?」
想像にやすい。
「あー、アレになる」
髪を切った翌日の朝、洗面所の鏡に映った己と目が合う。乾燥して広がったボブヘア。メガネ。昨日の予想が間違ってなかったことを確認する。
「あー、やっぱすっちーだ」
わたしはすっちーになった。厳密にいうとすち子になった。
すっちーを知らない方が万が一いるといけないのでご説明する。すっちーは吉本新喜劇の座長である。劇中ではおかっぱにメガネ、白トップスに赤のカーディガンを羽織ったおばちゃんキャラ(だよね?)「すち子」として登場する。
長さこそ違えど髪の広がりといいメガネといい、すち子とわたしが完全一致。すぐさま家族に「わたし!すち子になった!」と申告したところ「似てない」という声は一切きかれなかった。夫爆笑。
ということでおかんは2年の時を経てロッチ中岡からすち子になった。
家庭内ではすち子でいいのだが、よその方と顔を合わせるにはちょっとアレである。内心「すち子だ……」と失笑を買うのもイヤだし、自分から「どうもー、すち子でーす」と名乗る勇気もない。
致し方ないのでウェットヘアを求めて真剣にスタイリングをすることにした。なれるまではすち子感が多分に漂うと思われるが、わたしを見ても笑わないで欲しい。